2021年3月23日火曜日

論文「友愛の政治と来るべき民衆—ドゥルーズとデモクラシ—」

 ご無沙汰していました。

気づけば数年ブログをほったらかしでした…。

おかげさまでこの数年で業績もたまってきたので、その紹介をぽつぽつとしていきます。


まず、ジル・ドゥルーズにおけるデモクラシーに関して書きました。

書誌情報は以下のとおりです。

「友愛の政治と来るべき民衆—ドゥルーズとデモクラシー—」、

『〈つながり〉の現代思想—哲学・政治・精神分析—』、松本卓也/山本圭編、

明石書店、2018年、125-157頁。



ドゥルーズ&ガタリ『哲学とは何か』のなかで、

デモクラシーは哲学の「事実上の条件」として肯定的に語られています。

しかし同時に、古代ギリシアであれ近代であれ、

歴史上のデモクラシー国家が対外的には帝国主義的であったと、

デモクラシーは同書で批判もされています。

デモクラシーのこの両義性を手がかりにして、マイノリティの問題や、

「來るべき民衆」の形象にも触れながら、

ドゥルーズにとってデモクラシーがいかなる意味をもつのか、

論じました。


また、今をときめく(?)松本卓也さんや山本圭さんたちとともに作った

この『〈つながり〉の現代思想』という本全体については、


今振り返っても、哲学・政治・精神分析という異なる分野の

若手研究者同士でワイワイ楽しく議論できたのは、

貴重な経験だったと思います。

この本からそうした「若さ」や「熱さ」を感じ取ってもらえたら

うれしいです。






2017年2月25日土曜日

拙論掲載と合評会のお知らせ

お知らせです。

拙論が紀要に掲載されました。

書誌情報は以下の通りです。

大久保歩、「国家の死: ニーチェにおける主権と正統性の問題」、『メタフュシカ』、47、2016、11-22。

大学のリポジトリへのリンクはこちら

昨年の国際学会の発表に手を加えたものです。

中期ニーチェに正統性と主権の問題を見いだし、

そこからデモクラシーに伴うひとつのパラドクスを論じています。


また、拙論を含め、今回の紀要をめぐって合評会が開かれます。

第20回 handai metaphysica研究例会

(『メタフュシカ』第47号合評会)

日時:2017年3月3日(金)14:00~

場所:大阪大学文法経済学部本館2F大会議室(豊中キャンパス)

合評会の詳細についてはこちらの研究室HPを御覧ください。

大阪大学豊中キャンパスの地図はこちら


今回の紀要では、今年度で退官される上野修先生のご論考と並んで

拙論を掲載していただき、合評会でも先生とご一緒することになりました。

上野先生のご研究からこれまで多くのことを学んできた人間としては、

大変貴重な機会を与えていただいたと思っています。

お時間のある方はぜひ足をお運び下さい。

2016年4月24日日曜日

第25回 ニーチェ・セミナー

更新ご無沙汰してました。

今日は僕が合評会で登壇する学会のご紹介です。

日本ショーペンハウアー協会
第 25 回 ニーチェ・セミナー

日時: 2016 年 4 月 30 日(土)・5 月 1 日(日)

場所: 大学セミナーハウス 東京都八王子市下柚木 1987-1

プログラム
【4 月 30 日】
12:00 会場集合
12:30 個人発表 荒木和明(上智大学・院)
   「歴史をめぐるニーチェの立場」
14:30 板橋勇仁『底無き意志の系譜 ショーペンハウアーと意志の否定の思想』合評会
   司会:梅田孝太(上智大学)
   質問者:高橋陽一郎(日本大学)
   本郷朝香(立教大学)
   大久保歩(大阪大学・院)
19:00 個人発表 東谷優希(一橋大学・院)
   「初期ニーチェと古典文献学」

【5 月 1 日】
9:30 個人発表 今崎高秀(日本学術振興会)
  「『ツァラトゥストラかく語りき』における政治的なるもの」
11:30 事務的話し合い
13:00 個人発表 生島弘子(大阪大学・院)
   「男の羞恥と女の羞恥」
15:00 個人発表 中村哲平(早稲田大学・院)
   「後期ニーチェの美の概念における非主観性の問題」
17:00 個人発表 飯田明日美(お茶ノ水女子大学・院)
   「遠近法的解釈としてのニーチェの認識論」
19:00 終了
以上

今回は若手研究者の発表が多めです。

僕は板橋勇仁さんのこちらのご著書の合評会で
代表質問者として登壇します。


ニーチェに関する議論は本書の一部ですが、

さまざまな哲学者を参照しながら議論のパースペクティブを

広くとっている本書をふまえて、

合評会ではいろいろな問題について議論できそうです。

学会会員以外の方で参加ご希望の方は、

4月27日までに以下にご連絡いただければ

なんとかなるかもしれません。

連絡先:ニーチェ部会担当
nietzsche●schopenhauer.org(●は@に変更して送信して下さい)

2015年5月8日金曜日

書評: ニーチェの正義概念の研究動向 : 欧文文献 を中心に

大学の紀要に昨年度書いた書評論文が
ネット公開されました。
論文への直リンクはこちら(PDF)。
リポジトリのページはこちら

ニーチェの「正義Gerechtigkeit」概念に関する研究動向を
簡単にサーベイするとともに、
最近の研究書を二冊、紹介しています。
ご関心のある方はご笑覧いただければ幸いです。

書誌情報は以下の通りです
(えらく長い論文名になっています...)。

大久保歩、「ニーチェの正義概念の研究動向:欧文文献を中心に
デヨン・ヤン『フリードリヒ・ニーチェの哲学における正義の概念の問題系』
Yang, Dae-Jong, Die Problematik des Begriffs der Gerechtigkeit in der
Philosophie von Friedrich Nietzsche, Duncker & Humblot GmbH, Berlin, 2005.
イェンス・ペーターセン『ニーチェの正義の天才性』
Petersen, Jens, Nietzsches Genialität der Gerechtigkeit, De Gruyter
Rechtswissenschaften, Berlin, 2008.」、『メタフュシカ』、45、2014、139-145。

2015年4月10日金曜日

代表制の危機と表象批判

昨年末の高千穂大学でのシンポジウムで
話した内容を論文にし、
高千穂大学総合研究所の紀要に載せていただきました。
その論文のPDFを公開します
ご笑覧ください。

政治の代表制の問題を、哲学の表象概念から
考察するという内容です。
主に、プラトン、ルソー、ニーチェを参照しました。
一般向けの講演がもとになっているので、
入門的な内容になっていると思います。

書誌情報は以下の通りです。
大久保歩「代表制の危機と表象批判: The Crisis of Representation and the Critique of Representation」、『総合研究』、28、2014年、5-20。


2015年2月1日日曜日

発表資料 高千穂大学総合研究所シンポジウム「21世紀における哲学的思考の射程―政治・経済・文化を結んで―」

このプログもずいぶん放置していました。
ポツポツ更新していきたいと思います。

今さらですが、昨年高千穂大学でお話ししたときに使った
パワーポイント資料を公開します。
ご笑覧下さい。

「代表制の危機と表象批判」という題で、
政治の代表制と哲学の表象を関連させて
プラトンとルソーとニーチェについてお話しました。
一般向けということで、入門的な内容になっています。

2014年11月24日月曜日

ロドルフ・ガシェ・セミナー THE WIND OF THOUGHT: On Hannah Arendt

デリダやド・マンを中心とした脱構築の研究で有名な
ロドルフ・ガシェ氏のセミナーが今週、東大駒場で開かれます。
今日のデリダのシンポジウムでの講演も好評だったようですね。
僕もこのセミナーの末席に加わろうと思っています。

ロドルフ・ガシェ・セミナー
THE WIND OF THOUGHT: On Hannah Arendt
2014/11/25(Tue) 13:00~
東京大学駒場キャンパス コラボレーション・ ルーム2 (18 号館)

13:00 Rodolphe Gasché (SUNY at Buffalo), “The Wind of Thought”
(followed by responses and discussion)
15:30 Yusuke Miyazaki (Niigata University), “Arendt on Aesthetico-Political Judgment”
16:00 Hiroki Yoshikuni (University of Tokyo), “Romanticism in Transit”
16:30 Response from Gasché (followed by discussion)

埋め込み画像への固定リンク

主催の方のご厚意で、ガシェ氏の講演原稿を
少し拝読させていただきましたが、
アーレントが『精神の生活』などで語る「思考thinking」について、
カント『判断力批判』と対照させながら論じる、
ガシェ氏一流の、明晰で刺激的な議論です。

アーレントやカントについて関心がある方に
興味深い講演であるのははもちろんのこと、
「思考とは何か」という根本的な問題についても
ヒントをもらえる内容だと思います。
迎え撃つ日本側の講演者を交え、
どんな議論がされるのか今からとても楽しみです。

平日の午後というなかなか参加するのが
難しいセミナーではあると思いますが、
ご関心のある方はぜひ足をお運び下さい。

ちなみに、ガシェ氏は最近、
興味深いドゥルーズ&ガタリ論を出版されたのですが、
それについてはまた今度。